常微分方程式の数値解法(2) Euler法
実際に1次の常微分方程式を解く。
基本
次のような1次の常微分方程式を考える。
このような常微分方程式に対して、ある種の数値解法の公式は漸化式の形で表される。
いま、次のような記法を導入する。
ここで、は一般には整数であるが、便宜上は非整数を使ってもよい。
陽的Euler法
前進差分による微分の近似は、
これと、
より、
ゆえに、
陰的Euler法
後退差分で、上と同様のことを行うと、
マイナスがあるのが嫌なので、とすれば、
この式は、を求めるのに、の引数としてが使われている。
がに陽に依存する場合は、実際にの式を代入して、についての式に整理しなければならない。
このように、実際に個々のを代入しないとに関する式が得られないものを陰解法 (implicit method)という。
対して、どのようなについても同じようにが得られるものを、陽解法(explicit method)という。
面倒な陰解法が何の役に立つのかというと、陽解法に比べて安定性が高いのである。
安定性が高いとは、刻み幅が大きいときでも解析解との乖離が小さいという意味である。
安定性については別の機会に詳しく説明する。
台形法
上の2つの方法の式を辺々足す。つまり、
辺々を2で割れば
これも陰解法である。他の2法に比べて精度が良い。